家族信託と成年後見の違いと、それぞれのメリットとデメリットとは?

相続手続きサポートガイド

こんにちは、「相続手続きサポートガイド」のコラムを執筆する司法書士の久我山左近です。

財産の管理や遺産の相続に関する問題は、家族にとって重要な問題になります。その際には家族信託や成年後見という制度が活用されることがありますが、それぞれの制度で異なる特徴があります。

家族信託は信託契約を通じて財産を管理する制度であり、成年後見は裁判所を通した制度になります。

本記事では、家族信託と成年後見の違い、それぞれのメリットとデメリットを相続に詳しい司法書士の久我山左近が詳しく解説いたします。

両者の制度の違いを把握することが、家族の将来のための適切な財産管理方法を選択する上で、必ずいい参考になりますので、ぜひ本記事を最後まで読んでください。

目次

家族信託は成年後見制度の弱点をカバーすることができる新しい制度です。

司法書士法人ホワイトリーガル
司法書士法人ホワイトリーガル

家族信託と成年後見はどちらも基本的に高齢になった方のサポートをするための制度です。今回のコラムでは、家族信託と成年後見制度の特徴と違い、それぞれの制度のメリットとデメリットについて相続に詳しい司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。

家族信託とは?そのメリットとデメリットを解説します。

家族信託とは、財産の管理・運用・処分を家族に任せる制度です。この制度を利用することで、親が認知症になっても資産が凍結されず、また親が亡くなった後でも子供などの家族が財産を管理ができます。

家族信託とは?

信託とは、財産を預けて運用・処分・管理してもらう制度のことで、自分以外の人や会社に財産を任せることです。家族信託では、委託者、受託者、受益者の3者が関与します。

委託者(親など)は財産の管理を依頼する人であり、受託者(子供など)は財産の管理・運用・処分を行う人です。

受託者は家族の中で信頼できる人が選ばれることが多くなります。受益者は、委託者である親になることが一般的です。家族信託は、柔軟な財産管理やご自身の望む相続を実現するための新たな方法として注目されている制度になります。

家族信託のメリット

以下が家族信託のメリットです。家族信託は、認知症などによる判断能力低下や相続時のトラブルを回避するために有効な制度ですが、設定や運用には細心の注意が必要です。信頼できる家族や専門家の助言を得ながら、適切な家族信託の活用を検討いたしましょう。

①認知症などで本人の判断能力が低下した場合でも、財産の管理や処分が可能です。
②財産を子供など信頼できる家族に委ねることで、適切な運用や資産保全ができます。
③相続時の手続きが簡素化され、円滑な相続手続きが可能です。
④財産を家族内で円滑に分配できます。

家族信託のデメリット

①家族信託の設定や運用には一定のコストがかかります。
②家族信託の設定には一定の手続きが必要であり時間や労力が必要になります。
③家族内の信頼関係によっては、家族信託がトラブルの原因となる可能性もあります。
④家族信託の運用には一定の制約があり、自由度が制限される場合があります。

成年後見とは?そのメリットとデメリットを解説します。

成年後見制度は、高齢者などの財産を家庭裁判所の監督のもとで第三者に管理してもらう制度です。財産を管理する人は専門家であるケースが多く基本的に安心して任せることができます。

参考:法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」

成年後見とは?

成年後見制度は、判断能力が低下・喪失した方に代わって、法律行為や生活のサポートを行う制度です。この制度では、財産管理や契約手続きなどの法的な手続きや身上監護を行い、該当する方々の生活を支えます。

成年後見は、本人の判断能力が低下した際に役立つ制度ですが、一方で費用や制約が生じることも考慮しなければなりません。個々の状況に応じて、成年後見制度を選択するか、他の制度を検討する必要があります。

成年後見のメリット

成年後見制度は、高齢者や認知症などの理由で判断能力が低下した人々を保護するための制度です。この制度には、いくつかのメリットとデメリットがあります。

①後見人は本人の財産を管理し、必要な支出や投資などを行うことができます。
②後見人は本人が被った悪質な契約や詐欺などを取り消すことができます。
③本人の財産が不正に使われ、浪費されることを防ぐことができます。

成年後見のデメリット

①成年後見制度を利用するためには、一定の費用がかかります。
②後見人を変更する場合などには、裁判所での手続きなどが必要です。
③本人の自由度が制約されるため、不要な出費や行動が制限されることがあります。
④成年後見制度は認知症といった判断能力がないことが条件なのでご自身が健全なうちは利用できない。
⑤成年後見制度はご自身が亡くなった後は引き続き財産の管理や処分ができません。

家族信託と成年後見の主な違いを解説します

ここでは、家族信託と成年後見の主な違いについて解説いたします。

制度の目的

家族信託とは、信頼できる家族に財産を預けて管理または運用をしてもらう信託契約です。一方で成年後見は、認知症や障害などの理由で自己の財産を管理できなくなった人のために、法的な保護措置を提供する制度になります。

選任の方法

家族信託では、財産の所有者自身が信託契約を結び、信頼できる家族などを財産管理者として指定します。一方、成年後見では、裁判所が後見人を選任します。

財産管理者の権限

家族信託では、財産管理者は広範な権限を持ちますので財産の運用や処分などを行うことができます。一方、成年後見では、後見人は裁判所の監督下で財産管理を行い重要な契約や財産の処分には裁判所の許可が必要です。

手続きの費用

家族信託の設定には、信託契約の作成や登記手続きなどの費用がかかります。成年後見の設定には、裁判所手続きや成年後見人の報酬などの費用がかかります。

監督体制

家族信託では、受託者が財産を管理するために信託契約に基づいて行動する必要があります。成年後見では、裁判所が成年後見人の行為を監督して適切な支援が行われるようにします。

制度の持続性

家族信託は、財産の所有者が解消を希望した場合に解消できます。一方で成年後見は、後見人の辞任や財産所有者の死亡などの特定の事由がなければ取り消しされません。

家族信託と成年後見の違いのまとめ

家族信託は、財産の管理や運用などを信託契約に基づいて行う制度になります。一方で成年後見制度は、成年後見人が裁判所の許可を得て、被後見人の財産や身上監護などを行う制度になります。

家族信託と成年後見の違いを把握することはとても重要です。自身や家族の状況に合わせて、適切な制度を選択しましょう。家族信託と成年後見のメリットやデメリットも考慮しながら、将来の財産管理や法的保護についてしっかりと検討しましょう。

ここまでで、今回のコラム「家族信託と成年後見の違いと、それぞれのメリットとデメリットとは?」のテーマの解説は以上になります。

当コラムを運営する「相続手続きサポートガイド」では、家族信託や成年後見についての無料相談だけでなく、遺言書作成や相続放棄など相続に関連するお悩みについても無料でご相談することができます。ぜひ、お気軽に当サイトの無料相談を利用していただきたいと思います。

それでは、司法書士の久我山左近でした。

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