相続税対策で生前贈与はどれぐらい有効?久我山左近が解説します!

相続手続きサポートガイド

こんにちは、「相続手続きサポートガイド」のコラムを執筆する司法書士の久我山左近です。

今回のコラムは、相続税対策で生前贈与はどれぐらい有効か?というテーマで、相続税対策を行う上での生前贈与の有効性や生前贈与の実際の方法、また生前贈与のメリットやデメリットについても相続に詳しい司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。

相続税対策にも生命保険や不動産を使った方法など、多くの方法がありますが読者の皆様が1番先に思い浮かぶのが生前贈与を利用した相続税対策ではないでしょうか?

その中でも暦年贈与として贈与税の非課税枠を使用した方法が一般的になりますが、それだけでは大きな相続税の節税効果を上げることができないケースもあります。

今回の記事では、そんな生前贈与についてのいろいろな方法を実際に例を挙げてわかりやすく相続のスペシャリストの久我山左近が解説いたします。

ぜひ、最後まで読んでいただき生前贈与について理解を深め実際の相続税対策に活かしていただきたいと思います。

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目次

生前贈与の方法やメリット・デメリットを久我山左近が詳しく解説します!

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当サイトの「相続手続きサポートガイド」では、相続税対策の全般的な方法には以前のコラム「相続税の節税対策について!相続に詳しい久我山左近が詳しく解説!」で詳しく解説していますので、ぜひそちらもご覧になってください。

まず、相続税については累進課税なので相続財産が多くなるにつれて税率が高くなり最高税率は、なんと55%にもなります。

相続で引き継いだ相続財産の半分以上を相続税の納税にあてるケースもあるため、できるだけ相続税の納税額を少なくしようと様々な相続税対策が実行されています。

今回のコラムでは、いろいろある相続税対策の中でも生前贈与を活用した相続税対策にフォーカスして久我山左近が詳しく解説いたします。

生前贈与による相続税の節税対策を久我山左近が解説します。

相続税対策の基本は、将来相続が起こったときの相続財産を減らしていくことです。

相続財産を減らすことをメインにした相続税対策としては、将来相続財産を引き継がせるつもりの子供や孫に、あらかじめ相続財産を引き渡してしまう生前贈与が有効な方法になります。

相続税と贈与税の最高税率はともに55%ですが、贈与税は相続税と比較すると低い価額に対して高い税率がかけられます。

ここでは単純に考えるために基礎控除額を除いた課税対象価額で比較しますと、課税対象額が5,000万円の場合では相続税の税率が20%になるのに対して贈与税の税率は55%にもなってしまいます。

要するに、何も考えないで贈与してしまうと相続税より高い税率がかかることになります。

相続税対策として生前贈与を活用する場合には贈与税の負担をできるだけ少なくする必要があります。

ここでは、贈与税が非課税になる非課税枠を利用して、贈与税がかからないように生前贈与する方法をご紹介します。

以下に、相続税と贈与税の税率表を載せていますので参考にしてください。

相続税の税率表

法定相続分の取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

贈与税の税率表

税率課税価格特別税率控除額一般税率控除額
10%200万円以下
15%400万円以下10万円10万円
20%600万円以下30万円25万円
30%1,000万円以下90万円65万円
40%1,500万円以下190万円125万円
45%3,000万円以下265万円175万円
50%4,500万円以下415万円250万円
55%4,500万円超640万円400万円

上記の表を見ても贈与税の方がかなり税率が高いことが理解できると思います。

年間110万円以下の贈与で相続税の節税対策を行う!

贈与税は、生きている人から財産を無償でもらったときにかかる税金で、会社などの法人から財産を無償でもらったときは一時所得として所得税が課税されます。

贈与税は毎年1月1日から12月末日までの1年間にもらった財産の合計額から贈与税の基礎控除額110万円を差し引いた残りの金額に対して課税されます。

このタイプの税額計算の方式を「暦年課税」といいます。

暦年課税では、年間に贈与された財産の合計額が110万円以下であれば贈与税は課税されませんので贈与税の申告をする必要もありません。

例を挙げれば、父親から子供へ年間150万円の贈与があった場合には贈与税の基礎控除額を引いた40万円に対して贈与税が課税されます。他方で、年間の贈与の額が90万円だった場合には贈与税は課税されません。

1年間の贈与の額を110万円以下に収めると、贈与税を負担することなく将来相続させる財産を減らすことが可能です。

110万円以下の贈与を複数年に渡って繰り返し行うことで、まとまった金額を贈与することも可能になります。

例を挙げれば1年間で110万円の贈与を10年間10回行うと、贈与税を負担することなく1,100万円の相続財産を贈与することができます。

ここでは、年間110万円以下の生前贈与による相続税対策の注意点を解説いたします。

暦年課税の110万円の基礎控除は、相続財産を贈与された人(受贈者)1人あたりの金額で、贈与をした人(贈与者)1人あたりの金額ではありません。

仮に1年間の間に3人から110万円ずつ財産をもらった場合は、330万円まで非課税になると勘違いする人もいますが、基礎控除の110万円を超える220万円に対して贈与税が課税されます。

一方で、3人の子供に相続財産を贈与する場合は受贈者それぞれが年間110万円まで贈与税が非課税となるため、贈与税を負担することなく330万円まで相続財産を減らすことができます。

暦年課税では、110万円以下の贈与を複数年に渡って繰り返すことで贈与税がかかることなくまとまった相続財産を贈与することができます。

複数年にわたって贈与を繰り返す場合は、忘れないように誕生日などで毎年決まった時期に贈与することが多いと思います。

しかし、このように定期的に贈与する方法は税務署によっては定期贈与と判断されて贈与税が課税される可能性があります。

毎年同じ金額を同じ相続人に繰り返し贈与していると、税務署は「相続税対策のためにまとまった金額を贈与するつもりだった」と判断しますので、複数年に渡る贈与の合計額に贈与税が課税されることになることがあります。

複数年にわたる贈与では、以下のポイントに注意する必要があります。

まず、贈与を受ける預金口座は贈与を受ける人が管理する必要があり、贈与する側が管理していると名義が贈与を受ける側のものであっても贈与者自身の財産とみなされて死亡時に相続財産として扱われることになります。

また、贈与契約書は贈与する度に作成する必要があり数年分の贈与を1つの贈与契約書にしてしまうと、その合計額に贈与税が課税される可能性があります。さらに、贈与の時期は誕生日のように一定の時期にしないことや意図的に贈与の金額を110万円を超える額にして少額の贈与税を納付するようにしましょう。

そうした工夫をすることで、複数年に渡る贈与の合計額に贈与税が課税されることを防ぐことができます。

ここでもう1つ注意点があり、相続が開始される以前の3年以内の贈与は相続税の課税対象になります。

これには、被相続人が亡くなる直前になって急いで相続税の節税対策をして課税を免れることを防ぐという目的があります。

暦年課税による贈与では1年ごとに贈与できる金額がわずかなために早い段階で生前贈与を始めることをお勧めいたします。

ここからは、生前贈与を活用した相続税対策の応用編になります!

ここからは生前贈与を活用した相続税対策の上級編になります。

被相続人が生前贈与をすると、相続財産をもらった受贈者(後の相続人)が無駄遣いをすることが考えられます。

しかし、それでは相続税を減らすという趣旨の意味がありません。そこで、相続税対策をしながら相続財産を子供や孫の将来に役立てる方法として生命保険の活用が広く行われています。

生命保険の活用とは、被保険者(保険の対象者)を親として保険金の受取人を子供に指定した生命保険に加入します。そして保険契約者(保険料を支払う人)は親ではなく子供にして子供が支払う保険料は親から贈与を受けることにします。

贈与された資金をすべて生命保険料の支払いにあてるようにすれば贈与された資金の無駄遣いを防ぐことができますし、1年間の贈与が110万円以下であれば贈与税もかかりません。

ここで重要なのは、この3つのポジション「被保険者が親」「契約者が子供」「受取人が子供」が変わってしまうと税法上もメリットが使えなくなりますので注意が必要になります。「被保険者と契約者が親」で「受取人が子供」にすると普通に相続税が課税されることになります。

ここでの税法上のメリットとは、前述もいたしましたが通常では被相続人が死亡したときの保険金には相続税が課税されますが、受取人である子供が保険料を支払っていたケースでは一時所得として所得税が課税されます。

そして、一時所得には税額計算上2分の1課税のメリットがあるために実質的な税負担の割合は少なくなります。

最後が相続財産の額が2億円以上ある場合は、あえて贈与税を負担する方法があります。

ここまでは、贈与税を非課税にすることで将来の相続税を節税する方法をご紹介してきました。

しかし、相続財産が2億円以上あるようなケースでは1年間で110万円の贈与ではらちが明きません。このケースでは贈与税と相続税の税額を考えて、あえて贈与税を負担した方が相続税を節税できる場合があります。

まず、相続財産が5億円あり子供が2人の場合に、2つの相続税対策のケースを考えてみましょう!

1つ目の相続税対策は前述した暦年贈与で子供が2人なので1年間で220万円、10年間で2,200万円分の相続財産を減らすことが出来ます。

2つ目が年間500万円、子供が2人なので年間1,000万円、10年間で1億円分の相続財産を減らすことが出来ます。しかし、贈与金額の500万円に対して贈与税がかかることになります。

これらのケースでトータルの納税額を比較すると以下の表になります。

対策なし暦年贈与500万円の贈与
相続税1億5,210万円1億4,220万円1億920円
贈与税0円0円970万円
合計納税額1億5,210万円1億4,220万円1億1,890万円

上記の例を見ていただければわかるように、相続財産が多い場合には、あえて贈与税の基礎控除額より多い金額を生前贈与する方がトータルで納税額が節税にされます。

ただし、相続税と贈与税の双方の税率を比較して正確に判断する必要がありますので、当事務所の提携税理士のように相続税に強い税理士に相談してから贈与の検討することをお勧めいたします。

相続時精算課税制度を使ってまとまった額の相続財産を贈与する

最後のパートが今回のコラムのメインになっている暦年課税の他の節税方法である相続時精算課税制度になります。

相続時精算課税制度では、60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子供や孫に対して贈与する場合に、2,500万円までは贈与税が非課税になる制度です。

贈与税の負担を気にせずにまとまった金額の相続財産を贈与できることがメリットがありますが、2,500万円を超えた部分は一律20%の税率で贈与税が課税されます。

同じ人からの贈与であれば、一括で贈与しても数回に分けて贈与しても、贈与が複数年にわたっても、贈与財産が2,500万円になるまでは贈与税が非課税になります。

なお、住宅取得のための資金の贈与では、父母や祖父母が60歳未満であっても相続時精算課税を適用することができます。これは令和5年12月31日までの措置です。

相続時精算課税制度を利用するときは、納税額がなくても贈与税を申告する必要があります。

また注意事項になりますが1度相続時精算課税制度を利用すると、指定した贈与者が死亡するまでは暦年課税に戻すことは出来ません。

また、相続時精算課税制度では贈与財産が2,500万円を超えると20%の税率で贈与税が課税されますが贈与税の基礎控除の100万円は差し引くことが出来ません。

相続時精算課税は、生前贈与と遺産相続を連結して課税する方式なので、相続時精算課税制度を利用して贈与された財産は、贈与者が死亡したときに相続税の課税対象になります。小規模宅地等の特例など他の相続税を減額する特例が適用できずに相続税自体があ高くなることがありますので、相続時精算課税制度による生前贈与は、相続税対策としては適していないケースもあります。

しかし、株式や不動産などで値上がりが見込める場合や賃貸不動産で家賃収入がある場合などの資産は前もって贈与することで、相続税の節税効果が期待できるケースもあります。

相続時精算課税による相続税は、死亡時の価額ではなく贈与時の価額で税額を計算しますので、値上がりする前や資産が増える前に贈与することで将来の相続税の節税対策になります。

贈与税の配偶者控除を利用して配偶者へ自宅を贈与する

贈与税には配偶者控除という制度があります。夫婦の間で居住用不動産やその購入資金の贈与があった場合には2,000万円までの贈与税が非課税になります。

配偶者自体は税額軽減の特例がありますので相続税がかからないことが多く自宅を生前贈与したところで相続税対策にはならないという意見もありますが、生前贈与で相続財産を減らしておくと子供などの他の相続人にかかる相続税を少なくする効果があります。

この贈与税の配偶者控除は年間の贈与の基礎控除額110万円とあわせて、配偶者から自宅などの贈与があったときは最大で2,110万円が非課税になります。

贈与税の配偶者控除を適用するためには、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 婚姻期間が20年を経過した後に贈与が行われること
  • 贈与の財産は居住用の不動産またはその購入資金であること
  • 贈与された不動産に居住し、その後も引き続き居住すること
  • 贈与税の申告をすること

贈与税の配偶者控除は、生活資金などの贈与には適用できませんので自宅の不動産やその購入資金の贈与についてのみ適用できます。また、贈与税の申告をしなければ配偶者控除を利用したことになりませんし、同じ配偶者からの贈与は一生に一度しか利用できませんので注意いたしましょう。

子供や孫へのマイホーム購入資金を贈与する。

マイホームの購入や増改築の資金を子供や孫へ贈与した場合は、適用条件を満たせば一定額まで贈与税が非課税になります。

この制度のことを「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置の特例」といい、令和5年12月31日までの贈与について適用できます。

また、省エネ・耐震・バリアフリーについて、いずれかの基準を満たす住宅(省エネ等住宅)については非課税限度額が高く設定されています。

この住宅取得等資金の贈与税の非課税限度額は、暦年課税の基礎控除額または相続時精算課税の非課税限度額と併用して利用することができます。

子供や孫への教育資金を一括で贈与する

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」も、贈与税の負担なくまとまった金額を贈与することができる制度になります。

父母や祖父母から子供や孫へ教育のために一括で贈与した資金は、最大1,500万円までは贈与税が非課税になります。

この非課税制度を利用するには、金融機関と教育資金管理契約を結んで専用の教育資金口座を開設し、口座への入出金や税務署への届け出は金融機関を通じて行います。贈与された資金を口座から引き出して教育資金に使用したときは金融機関に対し領収書を提出します。この制度は令和5年3月31日までの時限措置になります。

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置では、学校等に支払われる資金と学校等以外に支払われる資金で限度額が異なります。

学校等に支払われる教育資金は、1,500万円までの限度額で非課税になり、学校等以外に支払われる教育資金は500万円までの限度額で非課税になります。なお、これらの両方を合わせても非課税になるのは1,500万円までになります。

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置を利用して贈与された教育資金を一定の時期までに使いきれなかった場合や、教育以外の目的で資金を使った場合は贈与税の課税の対象になります。

子供や孫への結婚や子育ての資金を一括贈与する

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度」では、父母や祖父母から子供や孫へ一括で贈与した資金について、最大1,000万円までの贈与が非課税になります。

ただし、贈与された資金の用途は、挙式費用や新居の住居費などの結婚のためや出産費用や子供の保育費などの子育てのための費用に限られます。

この非課税制度で贈与税が非課税となる限度額は1,000万円までになりますが、このうち結婚のための費用については300万円が限度になります。

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置とおおむね共通する制度になり、金融機関で専用口座を開設する必要がありますし、この制度も令和5年3月31日までの時限措置になります。

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度で贈与された資金を一定の時期までに使いきれなかった場合や、結婚や子育て以外の目的で資金を使った場合は贈与税の課税の対象になります。

今回の記事では長々と解説をいたしましたが、相続税の節税対策という意味では前半の暦年贈与当りが1番重要になってくると思います。

どうでしょうか?適切に生前贈与を活用すれば大きな節税効果があることは理解できたのではないでしょうか。

ここまでで、今回のコラム「相続税対策で生前贈与はどれぐらい有効?久我山左近が解説します!」のテーマの解説は以上になります。

当コラムを運営する「相続手続きサポートガイド」では、相続税の節税対策についての無料相談だけでなく、家族信託や遺言書作成など相続に関連するお悩みについても無料でご相談することができます。ぜひ、お気軽に当サイトの無料相談を利用していただきたいと思います。

それでは、司法書士の久我山左近でした。

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